ビタミンEの過剰摂取に関する論文につきまして

2012年3月4日付の米科学誌ネイチャーメディシン(電子版)に、慶應大学などの研究グループにより、ラットにビタミンEを過剰摂取させると、骨粗鬆症を引き起こす可能性があるとの論文が掲載されました。当協会としましても、看過できない問題として、論文内容を精査し、著者に確認をとらせていただきました。

健康な骨は、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞のバランスで成り立っています。今回の発表では、ビタミンEの過剰摂取が骨粗鬆症を引き起こす理由として、細胞培養実験からの仮説で、ビタミンEが破骨細胞の巨大化(多核細胞)に必要なタンパク質の合成を促すことによるもの、としています。

この論文では、「正常なラットに、8週間総摂取量で、体重1キログラム当たり600ミリグラムのビタミンEを含んだ餌を与えると骨粗鬆症の様相を呈した」とあります。動物には種差がありますので、一概にそのままヒトに当てはまるとは限りませんが、日本人の食事摂取基準(厚生労働省 2010年版)では、ビタミンEの耐容上限量は、成人男性で一日当たり800〜900ミリグラム、成人女性で一日当たり650〜700ミリグラムとなっています。

なお、当協会で策定した「ビタミンE含有植物油」などの規格基準の一日摂取目安量は、300ミリグラム以下となっています。

<レター論文> Vitamin E decreases bone mass by stimulating osteoclast fusion.
(published online 4 March 2012; doi:10.1038/nm.2659)


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